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Evernoteのクリエイティブディレクターから聞いたUI&ブランディングの話

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結構前ですが、ONLABでEvernoteのクリエイティブディレクターGabeがきてUIとブランディングの話をしてれました。そのときの話をざっくりまとめました。

Gabeは現在、スマートフォンやウェブを中心にした
メモをクラウドかするサービス"Evernote"でクリエイティブディレクターをしている。
彼は元々は紙媒体出身で、いろんな分野のクリエイティブの仕事を経験してきた。

てか、なんか動画みつけたから冒頭ですがはっつけますね。笑
時間がない人は僕なりに要点下記にまとめたので、動画は時間あるときに見るといいと思います。


appleの仕事の話

アップルストア内のデザインとパッケージ

ただコンピューターを売るお店ではなく、
その後もお客さんのサポートをしたり、使い方を教えたりする場所。
appleのユーザにどういったサービスを提供するか”という実践の場所。
Macbookパッケージデザインに50もの案を、細かく検証してきた。

パッケージング:

普通は外の見えている部分を使って、
ターゲットとコミュニケーションしようとします。

ですからそこにいろんな情報を詰め込むわけです。
appleは、この外側をビルボード(屋外広告に使われるでかい広告スペース)
として使おうと考えました。

そして「空けたあと、どうなるか」という部分で、
何かもう少しお客さんを喜ばせる体験を
提供できるんじゃないかと思った。

他にも紙媒体での経験が今も役に立っている。
その中で一貫しているのは、
ブランディングに関わってきたということ。

Evernoteでは、全てスクラッチから携わることができた。



UIではそのようなブランディングが、どう活きてくるのか。

見える部分だけを気にしていれば良いのではない。

  • わかりやすいか
  • 安定しているか、動作が不安定ではないか
  • 楽しめるか、満足できる使用感を提供できているか

プラットフォームに準じて作っているか?

プラットフォームは、町のようなもの。使うプラットフォーム(町)のルールにしたがって
良いプラットフォームの市民になりなさい。
むりやり自分たちのUIを押し付けないこと。すべて同じに見えないきゃいけないわけではない。
EvernoteiPhoneではリッチな表現、Androidではフラットな表現を用いてUIをデザインしていた)


LESS IS MORE

ソフトウェアを作るというのは、小説を書くようなもの。
書こうと思えばいくらでも書けるが、一番難しいのは
書き上げた1000ページをいかに300ページに落とし込むかというところである。
その「300ページ」にいかに良いものを選べるかというのが難しい。


よく聞くミス

「オプションとして入れてあげよう」

これをすることによって、ユーザーは何も便利になってない。
僕らが判断して選べなかったが為に、ユーザにとってより複雑になっているのだ。


「メニューにいれよう」

メニューは確かに入れやすい場所ではある。
しかし、入れるべき場所がちゃんとわからないものは
そもそも、あるべきではないのかもしれない。


「この機能が他のサービスと差別化できる部分だ」

これは単純に自分たちのサービスを「太らせている」だけである。

ユーザみんなを喜ばせることはできない。だからサービスの中で明確な優先順位をもつべき。
機能を追加する余裕をもたせるぐらいがちょうどいいのだ。
もし自分たちのサービスのコアとなる部分に追加すべき重要なものこそ追加するベき。


需要は発明の母

UIをミニマムなものにすることで、ユーザにコンテンツに集中してもらえる。
機能を追加することは重要ではない。コンテンツをヒーローにしてあげなさい。


TIP:モバイルデバイスでは特にユーザがどこからどこにいくのか、遷移がわかりやすくすると良い。

  • ナビゲーションもそのため使われる。どこからきて、今どこにいるのか
  • 私のものはどこにいったのか、どこにあるのか。

Evernoteではトランジションのアニメーションをいれて、感覚的にコンテンツの遷移を表現している。

という感じの内容を話していただきました。



スタートアップ界隈のデザイナーが知っておくべきはタイポグラフィ

懇親会でGabeと話す機会があり、
「紙媒体の仕事から関わってきたクリエイターとして、今のスタートアップ業界にいる
紙媒体のデザインを経験していないデザイナー達に必要だと思う点はどんなことでしょう?」
という質問をしました。

というのも、学生しながらフリーでデザインやったり、ウェブデザインを独学で学んで
スタートアップで働いている方とお会いする機会が多くあり、その中で自分の中に違和感をずっと持っていたからです。

自分がデザインを始めたときはぎりぎりですが、マスの広告が主流でしたし、
ウェブデザインも制約が多く、ようやくウェブにお金をかけるということが理解されて来たタイミングでした。

なので、基本紙媒体のデザインから学びました。そういうのが自分の中では、未だに
「何がきれいで、何がよくないのか」という感覚の基礎になってるんですが、
それを通ってないでウェブの制約のなかでやりくりすることしかわからない場合、
それはデザイナーと呼べるのかなぁと思ってたいからです。

ま、僕なんかがいうのは厚かましいですし、ほっとけよということでもあるんですが。。
Gabeさんはそれこそ、その紙媒体ベースからスタートアップ業界のど真ん中の会社に
入ったクリエイティブディレクターでしたので、そのデザイナーのポジションに関して
どのようなことを思っているのか興味があったのです。

で、Gabeさんは一番足りないと思う部分はタイポグラフィー」だといっていました。
今でこそWEBでも自由がかなり利くようになってきましたが、
使えるフォント、サイズ、文字間、行間などの制限がおおい為、文字のデザインができない人が多いと。
そこのベースがあるとないとの違いは大きい。らしいです。

確かに、色も、位置も、今はかなり急激によくなってきましたが、
制限が多かったので。デザインとしてきれいなものを
とことん突き詰めてセンスを磨く紙媒体での経験がないと
そのセンスをウェブだけで養うのは難しいのかもしれませんね。

幸い、日本のデザインはタイポグラフィーもものすごいこだわったものが多いですし、
大御所の方々のデザインにいつでも触れることができますから、
そこに積極的に触れて、自分でもつくって印刷してみて、
感覚を覚えていくのがいいのかもしれないですね。
自分も紙媒体での感覚に常に触れつつ、新しい分野に挑戦していきたいです。

次は、自分がウェブ関連の制作に多く関わるようになった去年の頭くらいのことからの
今までの経験のまとめみたいなものでも書こうかなぁ。